自己点検?評価の対象期間:
平成26年
04月
01日
~
平成27年
03月
31日
野村 眞木夫
(教授)
<教育活動>
授業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取り組み
学部?188体育ともにテクスト分析と談話分析の研究成果を反映した教育を展開し,教育現場での学習材分析?授業分析に資する能力を育成することを継続している。近年言語学にも導入され始めた「マルチモーダル」の考え方に基づき,文字?音声言語とそれ以外の画像情報,動的な情報等を均質的に観察の対象とする方法を取り込みながら,指導方法を改善している。現代日本語と古代日本語の文法を対比的に取りあげ,言語変化?語義変化?文法の変化等について教授している。2014年度はこれに加えて,主に学部で,パソコンを活用するテキスト分析ツールを導入し,コンコーダンサの運用とこれに基づくテキスト分析を展開させた。これは,国語教材の分析に有用と思われ,卒業論文の作成にも活用させ,相当の効果を上げた。また,成績評価については,SABCDをどのような基準によって判定しているのかについて,学生に開示し,これに従って実施している。
【観点2】教育の達成状況
188体育では,特にマルチモダリティの観点の修得とテクスト分析の能力を育成している。レポートや修士論文作成において,講義?演習で教授した知見や分析手法を活用して課題に取り組んでいることが明らかで,十分な教育の成果が達成されているものと判断している。過年度の修了生は,学会誌に掲載した論文について,他学会の学界展望によって高い評価を得ている。2013年度の学部卒業生(2014年3月卒業)は4名であるが,3人が 教員として採用され,1人が188体育進学である。この188体育に進学した学生は,2014年度において絵本の言語と絵画の両テキストの分析をマルチモダリティの観点から研究しており既に学会の研究水準に到達する知見を有していることが明確である。学部生は,パソコンによる分析ツールを駆使して,言語習得の実態と教科書教材の対応関係を分析し,新たな問題を発見した。2014年度の学部卒業生(2015年3月卒業)3名は,2名が小学校教員採用,1名が福祉系民間企業に採用された。後者においても,業種と大学で修得した知見等が整合するので,十分な教育成果が達成されているものと判断する。
研究指導
【観点1】学部
卒業論文を指導する4年次学生3名には,文章論?談話分析が主たる研究テーマであるので,具体的な研究課題を構築するために,これまでの関連領域の学術論文?著書の講読を展開し,具体的はデータに適用することで内容や言語現象の具体的な理解を深めた。特に接続表現の分析は高い水準を示すことができた。指導の過程で,パソコン上に言語分析ツールをインストールさせ,これによって具体的な言語テキストをデータ化し,コンコーダンスを作成しながら分析を進める作業を行わせた。このツールは,学部の演習においても使用させており,教科書教材等を客体化し,どのように教室で授業を展開するのかを自覚するためにも有用であることが明らかになった。
【観点2】188体育(修士課程、専門職学位課程、博士課程)
2014年度は,修士論文指導学生は学部からの継続があり,絵本の言語テクストと絵画テクストとの統合的な研究を継続させた。これは,マルチモダリティの観点からの研究であり,絵本またはさし絵がどのように受け入れられるのか,また教室で扱うばあい,どのような分析手法があるのかを具体的に分析するものであり,理論的な基盤を持ちながら,現場での受容のしかたを視野にいれたものである。また,188体育の特に演習で,多人数会話の分析を行った。これは教室でのいわゆる教室談話を分析するための基礎をなすもので,高度な分析ツールから現場で日常的に使用可能な機器の運用までを横断的にとりあげ,現職教員の積極的な関与を得て,実施した。
その他の教育活動
- 小学校,中学校の実習を観察し,日常的な,特に文章論や談話論の研究教育の成果が展開されているかを確認し,事後の指導を行った。2名が小学校教員として正採用,1名が民間企業採用となり,後者も対人的に高度な言語運用が求められる職場であるので,十分な指導を展開したものと判断する。
◎
特色ある点及び今後の検討課題等
- 専門は日本語のテクスト言語学の理論的な研究であるが,文章と談話を具体的な研究対象としているので,学習材の分析と授業実践の活動に直接有効性をもつ方法や観点を教授することができる。2014年度は,学部レベルの教育活動においては,教育実習ならびに卒業後の学習材分析や授業分析の能力の育成を明確にしながら演習?講義科目を展開しているが,特にパソコンと講義支援システムを活用した授業を展開している。その他,学習指導要領で敬語の区分が修正されていること,現代語と古典語の橋渡し,音声言語の記述?分析方法の能力の教授などをほぼ完全に教育活動において実施すべく,担当授業科目のシラバスを構築している。現代語と古典語の橋渡しは,極めて少数の取り組みである。さらに,マルチモダリティの観点を導入した講義を平成22年度から試行している。これは,188体育では明示的に実施し,学部では試行段階だが教職実践演習やブリッジ科目で導入している。
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)
平成26年
07月:
日本語文法事典(共著),大修館書店,
論】(1)
平成27年
03月:
日本語の小説における人称の表現と文体(第106回大会研究フォーラム「人称の表現と文体」報告),文体論研究,Studies in Stylesutics,61巻,
pp.71-73
発】(1)
平成26年
10月
26日:
☆人称の表現と文体,日本文体論学会第106回大会研究フォーラム,
他】(1)
平成26年
04月
01日:
~
平成27年
03月
31日:
個人ホームページの開設開設(188体育)
学会活動への参加状況
(1)
平成26年
10月
25日:
~
平成26年
10月
26日:
日本文体論学会,
(2)
平成26年
05月
31日:
~
平成26年
06月
01日:
表現学会全国大会,
(3)
平成26年
04月
01日:
~
平成27年
03月
31日:
表現学会理事,
(4)
平成26年
04月
01日:
~
平成27年
03月
31日:
表現学会編集委員,
(5)
平成25年
04月
01日:
~
平成26年
30月
31日:
北海道大学国語国文学会編集委員,
(6)
平成26年
04月
01日:
~
平成27年
03月
31日:
表現学会編集委員(表現学会)
(7)
平成26年
04月
01日:
~
平成27年
03月
31日:
表現学会理事(表現学会)
(8)
平成26年
04月
01日:
~
平成27年
03月
31日:
北海道大学国語国文学会編集委員(北海道大学国語国文学会)
◎特色?強調点等
- 日本語をテクスト言語学の観点から,記述?分析している。特に,今世紀に入ってから開発されたマルチモダリティの考え方を導入し,テクストを複合的な視点から観察することを可能にしている。前者については,2013年度に表現学会シンポジウムのパネラーをつとめ,その内容にかかる論文発表を行い,後者については,日本語の人称に関する単著『スタイルとしての人称』(おうふう)を2013年度末に刊行した。この著書は,2014年度に入ってから,『日本語の研究』(日本語学会)などで紹介された。また,これに関する内容として,2014年度に日本文体論学会の研究フォーラム(シンポジウム)で英仏独語の報告者とともに講演と議論を展開した。また,教育研究にわたり,統合的な分析ソフトELANを活用して日本語の談話分析を継続,さらにこれまで研究に活用していた,KWICコンコーダンサを教育にも活用することを開始し,2014年度には一定の効果を上げた。ただし,学生のコンピュータスキルとも関連するので,課題も少なくはない。
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)
平成26年
04月
01日:
~
平成27年
03月
31日:
上越市人にやさしいまちづくり推進会議(上越市)
(2)
平成26年
08月
05日:
~
平成26年
08月
05日:
教員免許状更新講習
◎社会への寄与等
学会の理事?編集委員は、表現学会は全国レベルの活動で,学会誌の評価もたかく,また学会の性質が語学?文学?教育にわたるので,教育上の貢献度も高いと判断する。学会運営として理事会,学会総会の司会等でも貢献している。上越市の会議への参加は,委員長相当であり,地域の環境等から教育?福祉に広くわたる議論が展開されていて,総合的な貢献を果たしていると判断する。