あ と が き


 上越教育大学では,組織,運営,教育研究活動等全般にわたる年次報告書を昭和60年度版(昭和61年12月発行)から作成・発行してきており,この平成27年度版で第31集を刊行するに至りました。このあとがきでは,本年度の年次報告書について各章ごとに総括します。

 第一章「組織の運営状況に関する自己点検・評価」に関して,管理運営組織等,学生支援,附属施設等においては概ね順調に取り組まれています。教育・研究組織等に関し,各組織がそれぞれの立場において課題を挙げていますので,本学としてもその内容を見極めつつ,更なる改善を図ります。
 なお,本年度は,特に注目される点として以下のことを挙げることができます。

<国立の教員養成大学・学部(教員養成課程等)卒業者の教員就職率で全国第3位>
 平成28年1月に文部科学省が発表した「国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)等の平成27年3月卒業者の就職状況等について」によると,本学の平成27年3月学部卒業者の教員就職率(卒業者数から大学院等への進学者と保育士への就職者を除いた場合の教員就職率)は84.9%で,全国44大学・学部中,第3位であった。

<「大学教員学校現場研修」の開始>
 実践的指導力の育成・強化を図る方策として,上越地域を含めた学校現場の実態や課題についての理解を深めるため,学校現場での指導経験のない大学教員に対しての研修制度を新たに導入した。本年度採用の大学教員全員(上越市内の小中学校教員経験者を除く。)が受講し,附属学校の研究会への参加,学校現場の視察,受講者とコーディネーターによる意見交換等を行った。

<教室等の設備の整備・充実>
 多様な授業形態への対応の一環として,2教室間をネットワークで繋ぐ「2教室間双方向授業システム」を導入した。また,アクティブ・ラーニングに対応した教室等の整備として,既存の2教室及び附属図書館1,2階のスペースを改修した。移動式の机とイス,ホワイトボード等を配置したほか,情報機器を活用したグループワークを行いやすいよう改修し,図書館2階のスペースについては授業にも利用できるようにした。

<研究倫理教育の実施>
 研究不正行為防止のための新たな取組として,9月の新任教員との懇談会において注意喚起を行ったほか,入学時のオリエンテーションにおいて大学院入学者全員を対象に,10月の教員養成課程学生合宿研修において学部3年生全員を対象に倫理教育を実施した。

 第二章「各教員の教育・研究活動及び社会との連携に関する自己点検・評価」に関して,各教員は教育活動,研究活動,社会との連携活動について,積極的に取り組んでいます。特に近年は,社会的活動状況が増加傾向を示しています。これは,教員の養成のみならず教育研究成果を社会に還元し,地域と共に学びの場を創造するという,本学大学憲章の理念が浸透してきていることの証ではないかと考えられます。また,本年度自己点検・評価書の回収率は95.20%(146人中139人)でした。各教員の教育・研究指導の状況に係る自己点検・評価が授業の内容及び方法等の改善に結びついて欲しいと考えています。

 本編の根拠として第三章に「資料編」を添付いたしました。最後に,本報告書の作成にご協力いただいた教職員各位に対して謝意を表しますとともに,学内外の関係各位からのご意見・ご助言をいただきたく,この場を借りてお願い申し上げます。

平成 29 年 2 月
上越教育大学副学長
大学評価委員会委員長
天 野 和 孝