自己点検?評価の対象期間:
平成27年
04月
01日
~
平成28年
03月
31日
玉村 恭
(准教授)
<教育活動>
授業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取り組み
重点的に取り組んだのは、論理的思考力(論理的に思考し、思考したことに基づいて判断し、思考?判断の中身――プロセスと結果――を表現すること)の育成である。この目的の達成のため、授業方法としては例年どおり講義と演習の双方を適宜使い分けつつ、演習的な形態の比重を高めた。また、講義形式の授業であっても、課題をほぼ毎回だし、かつ、課題をその時々の学生の「許容範囲」の「半歩先」を狙って設定するなど、学生のアクティブな取り組みを促すことに努めた。もう一つ、力を入れたのが、未知のことにもアグレッシブかつ謙虚に取り組む姿勢を養うことである。こちらの面では、授業「形態」のみならず授業「内容」にも工夫を施し、授業で取り扱う素材をできる限りバラエティに富んだものになるよう配慮した。成績評価は結果だけを見るのではなく、学生の試行錯誤のプロセスも含めてトータルに評価することを心がけた。課題や試験は試行錯誤のプロセスがわかるようなものにし、課題にはフィードバックを与え、試験は朱を入れて返却するなど、「やりっぱなし/やらせっぱなし」にならないよう留意した。
【観点2】教育の達成状況
上記取り組みについて、学生への授業アンケートでは概ね好評を得ることができた。学んだことを生かせる場(学外への出張演奏、各種イベントへの参加など)を課外に設定したが、コース内外から参加があり、学生に積極性と実践力が育まれていることが見て取れる。ゼミ所属学生2名(188体育生、学部生各1名)が教員採用試験に現役合格した。卒業?修了生からも相談や照会が寄せられ、楽器等教具?教材の貸与や授業運営についての助言等、求めに応じて助力を行った。このことは、卒業?修了後も学生への支援を継続するということだけでなく、地域の教育関係者?機関との良好な関係の構築にも寄与するものであると考える。
研究指導
【観点1】学部
学部生は、教壇に立つための基礎的な知識?能力の習得が最優先の課題である。このため、日本の伝統音楽?諸民族の音楽について、実際に楽器に触れ、声を出し体を動かす時間をできるだけ多く設定した。加えて、論理的思考力(とりわけ思考したことを適切な形で表現する力)も学生たちが早急に身につけるべき重要な資質?能力である。「うまく文章をつづる」ことはもちろんだが、「言語活動」を行うこと自体に不慣れな学生が多いため、時間をかけて音楽について「考える」機会、敢えて楽器を持たず?音を発せずに「音楽する」時間を設けた。
【観点2】188体育(修士課程、専門職学位課程、博士課程)
修士レベルの学生には、実技であれ理論であれ、最新かつ/または先端的な学術研究の知見を習得することと、そうした知見と教育現場の問題意識とをどうつなぐかということに関する成熟した考えを持つこと、さらに、実際にそれらの両極をつないで授業を展開していく「技能」を得ること、これらすべてが求められる。この観点から、188体育生には、学術研究の最新の成果に直接接する機会を多く与えるとともに、日本の伝統音楽や諸民族の音楽について、単に「体験」すること、とおりいっぺんの知識?技術を習得することにとどまらず、一定のレベルまで「習熟」することを求めた。紆余曲折を経つつも最終的には良好な成果を上げることができた。
その他の教育活動
- アジア音楽サークル 演奏指導(大学祭に出演)
- 附属小学校2015年研究 音楽科研究協力者
-
平成27年
05月
25日:
~
平成27年
06月
27日:
188体育附属小学校2015年研究会研究協力者(188体育附属小学校)
◎
特色ある点及び今後の検討課題等
- 教育活動の特色は、授業で取り上げる素材の幅が広いことである。第一に、日本の伝統音楽の諸ジャンルから諸民族の音楽まで、取り扱う音楽ジャンルが様々である。第二に、実技的な部分はもちろんのこと、理知的な性格の強い講義や演習などにも力を入れ、技と理知の往還によって真に深い思考力を育成することを目指した。実地の経験を重んじたことも、今年度の教育活動の特色である。地域活動などに積極的に参加し、学生にそうした活動に実際に触れさせ、企画?運営に携わらせて、生きた知見を得ることができるようにした。また、実演家や専門的知識の所有者等、地域の人材の連携?協力を得て、協同で授業を行うなど、広がりのある教育環境を整えた。
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)
平成28年
03月:
Musicking Music(ologic)ally 教科内容構成特論「音楽」(共著),永田印刷
(2)
平成27年
05月:
文化現象としての源平盛衰記(共著),笠間書院
発】(1)
平成28年
02月
14日:
どうすれば長唄をうたえるようになるか,日本音楽教育学会第31回北陸地区例会
(2)
平成27年
07月
24日:
A Plan for the “世阿弥の能楽論” Section of the Dictionary英語版能楽事典,英語版能楽事典編集のための研究集会
(3)
平成27年
05月
16日:
☆文化現象としての音楽教育:「教科内容構成」と音楽学,日本教育大学協会全国音楽部門大学部会第40回全国大会
学会活動への参加状況
(1)
平成28年
03月
05日:
~
平成28年
03月
05日:
美学会東部会例会
(2)
平成28年
02月
29日:
~
平成28年
02月
29日:
能楽学会東京例会
(3)
平成27年
12月
06日:
~
平成27年
12月
06日:
平成27年度日本教職188体育協会研究大会
(4)
平成27年
11月
14日:
~
平成27年
11月
15日:
日本音楽学会第66回全国大会
?日本音楽学会第66回全国大会
(5)
平成27年
05月
16日:
~
平成27年
05月
16日:
日本教育大学協会全国音楽部門大学部会第40回大会
(6)
平成27年
04月
26日:
~
平成27年
04月
26日:
第31回民族藝術学会大会
◎特色?強調点等
- 本年度の研究活動(執筆および学会等での口頭発表)の特色は、教育現場の諸課題を念頭に置きつつ、それらに対して根源的?原理的なレベルで応答したことと、教員養成の現代的課題に取り組み、とりわけ教科専門の立場から新しい視点を提起することを試みたことである。教育現場の諸課題は様々あり、「対症療法」的な取り組みが多くなる傾向がある中、課題から適切な距離を取りつつ、問題の本質的な部分に照準することを試みた。加えて、教員養成の諸課題に対しては、教科教育の担当者が主たる責務を担うことが多いが、教科専門の立場から、その立場ならではの分析と提言を開示した。これらの取り組みは、教育の現代的な諸課題に取り組むに際しての新しい視点を提供するものであり、一定の意味を持つものであったと自負している。
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)
平成28年
03月
27日:
~
平成28年
03月
27日:
188体育×上越文化会館コラボ企画 春の特別音楽講座 講師(上越文化会館)
(2)
平成27年
11月
18日:
~
平成27年
11月
25日:
教職員のための自主セミナー「和楽器入門~箏を鳴らしてみよう~:(188体育学校教育実践研究センター)
(3)
平成27年
09月
09日:
~
平成27年
09月
30日:
出前講座「ガムランに触れてみよう」(188体育/上越市立稲田小学校)
(4)
平成27年
08月
06日:
~
平成27年
08月
06日:
教員免許状更新講習「音楽科の教材研究と指導法C」講師(文部科学省)
(5)
平成27年
05月
27日:
~
平成27年
06月
03日:
教職員のための自主セミナー「伝統音楽に挑戦~能の表現を体感する~」(188体育学校教育実践研究センター)
(6)
平成27年
04月
01日:
~
平成28年
03月
01日:
京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター研究会研究員(京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター)
(7)
平成27年
09月
17日:
~
平成27年
09月
17日:
第29回新潟県高等学校日本音楽演奏発表会審査員(新潟県高等学校文化連盟)
◎社会への寄与等
今年度も様々な社会貢献の取り組みを行った。地域貢献事業では、地域が抱える課題(集落?共同体の縮小と、それに伴う地域文化の衰微)に対して助力を行ったが、第三者的な立場からそれをするのではなく、いわば共同体の内に入り、地域の一員として関わったこと、地域に寄り添うような立場から寄与を試みたことが特異な点である。また、都道府県の文化事業に審査員の形で関わったが、そのこと自体が地域文化を隆盛させることに貢献するものであったうえ、今後の地域の文化活動のあり方についてともに考えるという形で、深いレベルでの寄与を試みた。さらに、出前講座および教職員のための自主セミナーの開講を通じて、研究活動等で得られた成果や最新の学術的?専門的知見を供与し、地域課題の解決に向けた大学教員ならではの貢献を行った。いずれも取り組みの継続を望む声があり、良好な評価を得たものと考えている。